グループGの開幕を飾るイラン対ニュージーランド。会場はロサンゼルスのSoFiスタジアム。大観衆が期待するゴールラッシュとはほど遠い、硬直した90分が待っている可能性が高い。その理由を、チーム事情と戦術的な背景から紐解いていく。
攻撃のキーマンに黄信号
イランはエースのメフディ・タレミが軽度のコンディション不良を抱え、ここ数日のトレーニングを調整してきた。同じくサマン・ゴドスも負荷を抑えての調整が続く。二人のシャープネスが万全でなければ、イランの攻撃は決定機の数で劣る。さらに中盤の要ロオズベ・チェシュミは開幕戦を欠場が確実視されており、中盤の守備的な安定感もやや低下している。
ニュージーランドにとって痛いのは、攻撃的MFマット・ガーベットのハムストリング負傷だ。前日の練習で痛め、ジム・バゼリー監督も「状態を確認中」と明言。ガーベットがいなければ、クリス・ウッドへの供給ルートが限られ、2列目からの飛び出しも減少する。ウッド自身はフィットしているものの、周囲のサポート不足で孤立しやすい。
両監督の戦術的優先順位
イランはベルギー、エジプトとの対戦を控えるグループにあって、この一戦を最も勝ち点を拾いやすいと見ている。しかし経験豊富なガレノエイ監督は、先制後はむしろ守備的に試合を運ぶ傾向が強い。かつての日本戦でも見せたように、リードを守る時間帯はリスクを冒さず、交代カードも守備固めに使う。2点目を積極的に取りに行くというより、無理をしないマネジメントが予想される。
ニュージーランドは前哨戦でハイチに0-4と大敗した反省から、この試合は非常にコンパクトなブロックを敷いてくるはずだ。バゼリー監督は「まずは自分たちの守備を確立する」と語っており、ハイチ戦のような裏のスペースを与える展開は避けたい。ウッドへのロングボールとセットプレーが主な攻撃手段になり、オープンな展開には持ち込まない。
数少ないゴールシーンと低得点の構図
両チームの最近の親善試合を見ても、イランはマリ戦(2-0)、ガンビア戦(3-1)とまずまずの得点力を示しているが、相手の守備の綻びを突いた部分が大きい。コスタリカ戦(5-0)はPK2本を含む特殊なスコアで、本番の緊張感の中で同じ再現性を期待するのは難しい。一方ニュージーランドはイングランド相手に0-1と善戦したが、自陣深くに引いて耐える展開なら、むしろ相手の得点も1点以内に抑えられる。
何より、ワールドカップのグループステージ初戦は、どのチームも無理をしない傾向が強い。負けられないプレッシャーと、90分間の集中力維持のために、ゲームプランは保守的になる。イランもニュージーランドも、まずは失点を避けることを最優先に考えるだろう。




