グループステージの初戦は、どのチームもまず負けないことを優先する。ましてや王者アルゼンチンが相手なら、アルジェリアはなおさら守備を固めてくるだろう。両軍のキャンプから聞こえてくる声は、決して「打ち合い上等」ではない。スカローニ監督は「初戦が全てではない」と語り、アルジェリアのペトコビッチ監督もオーストリア戦をグループ突破の鍵と位置づけている。つまり、この一戦に全力を注ぎすぎて消耗するリスクを、双方がわかっているのだ。
ブックメーカーの想定と現実の乖離
市場が設定したトータル2.5ゴールのラインは、試合がオープンになることを前提としている。しかし、現実の試合像は全く異なる。アルゼンチンは守備陣に大きな調整を強いられている。左サイドバックのタグリアフィコが開幕戦を欠場し、メディーナが緊急で左SBを務める。さらに守護神ディブ・マルティネスは指の骨折から復帰したばかりで、実戦感覚が完全に戻っているとは言い難い。一方のアルジェリアは、守備の要ベンセバイニがフィットしており、ペトコビッチ監督はプランAとBを用意して「競争的に戦う」と宣言。実際、オランダとのテストマッチではルカ・ジダンの好セーブもあり、1-0で勝利した。あの試合も決して支配率が高かったわけではなく、守備で耐え抜いて勝機を掴んだ形だ。
アルゼンチンの不安材料とスコアリングペース
アルゼンチンの攻撃力は依然として世界トップクラスだが、開幕戦で無理にギアを上げる必要はない。スカローニ監督はメッシの出場を明言しているが、フル稼働させるかは未知数。直近の親善試合を見ても、アイスランド戦は3-0、ホンジュラス戦は2-0、ウルグアイ戦は1-0と、いずれも2点台前後に収まっている。特に本番を想定したコンパクトなブロックを崩すのに苦労する場面も見られた。アルジェリアが5バック気味のブロックを敷けば、アルゼンチンはサイドから崩すより、中央の狭いスペースでメッシやアルマーダを活かす選択を取るだろう。そうなるとシュート数は増えても、クリアな決定機は限られる。
アルジェリアの現実的な戦略
アルジェリアは決して引いて守るだけのチームではない。マフレズ、グイリ、アムーラといった攻撃陣は鋭いカウンターを持っている。しかし、ペトコビッチ監督は前哨戦でウルグアイ相手に3-4-2-1の守備的なブロックを試し、0-0の引き分けに持ち込んだ。その経験が生きている。また、アルジェリアの選手たちは「まずは失点しないこと」を口にしており、現実的な戦い方を理解している。ルカ・ジダンも「強豪を相手に、まずは守備の安定を優先する」と語っており、恐らく前半は徹底したブロック守備で耐える展開になるだろう。
このような要素が重なれば、試合のテンポは遅くなり、両チームとも決定機は数えるほど。1-0、0-0、あるいは1-1というスコアが自然に出てくる。ブックメーカーが想定するオープンなゴールラッシュとはほど遠い。トータルアンダー2.5は、この試合の現実を最も正確に捉えたベットと言える。




